パントリーの中に冷蔵庫を置くとスッキリとした生活感のないキッチンを簡単に手に入れられます。
そのためにデメリットが多すぎて後悔しては本末転倒ですのでキッチリ対策を考えておきましょう。
冷蔵庫ドーン!の生活感たっぷりなキッチンよりも、インテリアの映えるオシャレなキッチンの方がが楽しくお料理できそうだよね。
でもちょっと待って!安易に「パントリーに隠してしまおう」と考えるのは危険だよ。
この記事ではタイプ別に生じる「冷蔵庫をパントリー内に置くデメリット」を解説します。
デメリットにはしっかりと「対策」を講じて後悔のないキッチンを手に入れましょう!
この記事はこんな人におススメ!
- 冷蔵庫をパントリー内に設置する際の注意点を知りたい人
- キッチンの家事動線と見た目のスッキリ感を両立させたい人
- 「パントリー、冷蔵庫、後悔、不便」の検索ワードに不安になっている人
パントリーの種類は3タイプ
パントリーは大別して3つのレイアウトタイプがあります。
壁面パントリー
キッチンの背面や側面に壁付けの収納スペースをつくるパントリーです。
引き戸やロールスクリーンを付けることによって中身を隠し生活感を減らすこともできます。
キッチン横に配置した場合の壁面パントリー
ウォークインパントリー
中に人が入れて、ひとつの部屋としてスペースを確保するパントリーです。
独立した部屋のウォークインパントリー
ウォークスルーパントリー
ウォークインタイプ同様、ひとつの部屋としてのスペースを有しますが、出入口が複数あって通り抜けられるようになっているパントリーです。
出入口が2か所以上あるウォークスルーパントリー
各デメリットが該当するかどうかと対策をタイプ別に解説していきます。
後悔①パントリー内の収納スペースが減ってしまう
背面(壁面)パントリー=やや当てはまる:冷蔵庫の幅を除いても十分な幅が確保されているか要チェック。キッチンスペース内に新たな壁を設けないので比較的スペースは確保しやすい。
ウォークインパントリー=該当:冷蔵庫のほかに何をどのくらい置きたいかボリュームを把握しよう。壁で囲ってしまうので想像以上に狭く感じる。
ウォークスルーパントリー=該当:冷蔵庫のほかに何をどのくらい置きたいかボリュームを把握しよう。出入口を作る分壁面は減りウォークインよりもモノを置くスペースは少なくなる。
冷蔵庫の体積は、家財の中でもベッドの次くらいに大きいビッグサイズ。
冷蔵庫をパントリー内に置けばその分の面積を消費してしまいますので、相対的にその他のものを置くための面積が少なくなってしまいます。
少ない面積に対してモノが多いと窮屈になりあちこちに山積み。散らかって「入るのもイヤ」になりかねません。
あらかじめ食品を置くスペースを確保する必要ああります。
冷蔵庫までパントリー内に収納する場合はウォークイン、ウォークスルーなら2畳以上にするのがおススメだよ。
壁面パントリーに比べて他の空間と区切ってしまうのでしっかりと広さを確保できるよう留意しましょう。
後悔②キッチンから冷蔵庫までの動線が長くなる
壁面パントリー=冷蔵庫位置によっては該当。キッチンに最も近い場所を冷蔵庫用に確保することで解消。
ウォークインパントリー=該当。冷蔵庫までの歩数を想定しながら間取りを検討することで軽減可能。
ウォークスルーパントリー=パントリー位置によっては該当。シンク側にキッチンと並べてすぐ隣に冷蔵庫をおけば軽減可能。
シンクとコンロと冷蔵庫の配置が正三角形に近いほど作業動線はよくなります。
その移動距離は2~3歩がベストです。
一方、別室としてパントリーをつくると移動歩数は多くなります。
ウォークインパントリーとウォークスルーパントリーでは家全体の間取りからパントリーの位置を決めるのはやめましょう。
必ずキッチン、特にシンク側の一番近くに冷蔵庫スペースを確保して、それからパントリーをどの方向に広げていくかを考えることが後悔度合を和らげるポイントになります。
また、どうしても歩数や出入りの手間があるレイアウトになってしまう場合、自分が慣れるという対策もあります。一度にまとめて食材を出し入れするようになったので行ったり来たりすることがなくなったという前向きな施主の感想もあります。
後悔③冷蔵庫へ行くまでにドアの開け閉めが必要になる
壁面パントリー=リビングダイニングからの死角にドアなしで採用すれば該当せず。
ウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当する可能性あり。ドア無し、引き戸、ロールスクリーンで対処。
パントリーに外開きのドアなんか付けてしまうと、料理中開きっぱなしのドアが邪魔になってしまいます。引き戸を採用するケースでも普段は開けっ放しにしていて来客時に飲み物を取ろうとすると、いちいちドアを扉を開けないと冷蔵庫が出てこないといった状況に陥ります。
「結局そのドアは常に開けっ放し、閉まっているのを見たことがない。」となりがちです。
ウォークインパントリーやウォークスルーパントリーでも、入口にドアがない方が作業効率は良くなります。
- リビングダイニングから死角になる場所に入口を作れるのであればドアを設けないのが一番です。
結局冷蔵庫丸見え!とならないよう、角度には気を付けましょう。 - 引き戸にして普段開けっ放しにしてもOK。その場合は必要最低限の冷蔵庫部分の扉だけを開けられるようにしておくとよいでしょう。
- ドア以外にもロールスクリーンにすると気軽に開閉できる上にコスト軽減できます。
後悔④冷蔵庫に奥行を合わせるとパントリーの棚が使いづらい
壁面パントリーウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当:冷蔵庫以外の奥行を浅くすると解消可能。
使いやすいパントリー内の棚の奥行は30~40cmです。
一方、冷蔵庫の奥行は一般的に70cm前後です。
スペースがもったいないからと冷蔵庫と同じ奥行で棚をつくると深すぎます。
奥行が深すぎると2つの問題が生じます。
問題①奥に置いたモノの存在を忘れる
奥行の深い棚に小物を置くと、どんどん奥に追いやられてしまって賞味期限が切れるまで忘れられた存在に。
「奥行きのある大きいもの」は家電を除くとそれほど多くありません。
お米や箱買いの飲料などですが、置きたい場合には床に置くこともできますので、棚自体は奥行を深くする必要がありません。
問題②かごに入れるなら、そもそもパントリーにする必要がない
小さいものは結局カゴなどに入れて収納することになりますが、あまり奥行きの深いカゴは出し入れするのも一苦労。
結局収納も「キッチンではないスペースの中のかごの中」と二重になってしまって、「食品を置きっぱなしにできる場所」のはずなのに、本末転倒です。
それならキッチンにある戸棚の中で十分ですよね。
また、オシャレなかごに入れるならキッチンの見える場所でもいいとも言えます。
解決方法例:冷蔵庫を置く場所だけ深くして食品棚の奥行を浅くする
他の居室の形状と調整が必要になりますが、冷蔵庫、食品棚の手前のラインを揃えて背面を凸凹にする手があります。
その際は冷蔵庫サイズが変わっても対応できるようにする必要があり、ゆとりをもった間取りをお薦めします。
後悔⑤冷蔵庫のコンセントをつけ忘れた
壁面パントリーウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当。設計時に「ここに冷蔵庫を置くのでコンセントをつけてください」と必ず伝えましょう
施主が考えていることが相手に伝わっていないことはよくあります。
言ったのに忘れられているということさえよくあります。
ましてや、「冷蔵庫を置くのは引っ越しの時に自分が置けばいいだけだから」と、パントリー内に冷蔵庫を置くことを伝えていないと大変なことになります。
冷蔵庫を置いた場所にコンセントがない!という事態にならないよう、あらかじめ設計段階で「パントリー内のこの位置に冷蔵庫を置きたいのでコンセントの設置をお願いします」と伝えておきましょう。
後悔⑥冷蔵庫の中と外の掃除が高ハードルに
壁面パントリー=該当しにくい。外側の掃除がしにくいので冷蔵庫前にスペースを確保することで対処可能。
ウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当。見られていなくても中をキレイにすることを意識。手前に引き出せるようパントリー内のスペースも確保して対処。
パントリーはそもそも食品を保管する場所ですので、冷蔵庫回りも衛生的に保ちたいものです。
また、冷蔵庫を普段見えない場所に置いてしまうと冷蔵庫自体の内部の掃除もついつい忘れがちになってしまいます。
見えなくするからには忘れずに掃除するのみです。
いっそ見える場所に置いた方が、ズボラな私には掃除しやすいかも
- 冷蔵庫自体が普段目につかない場所へと距離が遠くなるにつれ、中の掃除が疎かになりがち。食品の衛生状態を保つためにもパントリー内に置く前と同じペースでの掃除を心がけましょう。
- 冷蔵庫を手前に引き出して周辺に溜まった埃を掃除するペースも落ちてしまいがちです。狭いスペースでは物理的に掃除しにくいので、あらかじめ冷蔵庫前にスペースを確保しておきましょう。
後悔⑦通気性が悪く周辺の食品や電気代に影響も
壁面パントリーウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当。背面にスペースが取れるのであれば冷蔵庫の設置スペースを守ったレイアウトができるように間取りを検討しましょう。窓や換気扇の設置も有効。熱の影響を受ける食品は近くに置かないようパントリー内の使い方もイメージしておきましょう。
- 冷蔵庫と壁の距離によって年間で45.08kWhの差が生じます。例えば電力量料金が24円/kWhの場合には1,080円の差です。壁から適切な距離をとって冷蔵庫を配置できるように設計してもらうとよいでしょう。
- また、冷蔵庫自体外側に熱を放出しますので近くには「高温・多湿・直射日光を避けて」の食品を置くべきではありません。パントリー内に窓を配置するか換気扇を設置することでも熱の放出を助けることができます。
後悔⑧搬入できない、搬出できない、買い替え時故障時のトラブル
壁面パントリー=該当しにくい。ただし搬入経路は要確認。
ウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当。出入口は冷蔵庫ギリギリサイズではなく余裕をもって設計する必要がある。
ただでさえ、冷蔵庫は搬入が一番難しい家電です。
パントリーの無い家であっても「搬入しようとしたら入らなかった→仕方なく小さいサイズに買い替え」というトラブルが続出しています。
ましてやパントリー内に冷蔵庫を収めるのはプロの引っ越し業者でも至難の業です。
搬入経路、通路の幅を入念にチェックすることでトラブルのないパントリーになります。
我が家は凹凸のある間取りで凹んだところに収めてもらいましたが引っ越し業者さんには「(引っ越し屋の私たちだからできたけど)家電屋さんに搬入出を頼んだら断られるかもしれません」と言われてしまいました。冷蔵庫の搬入はかなり難易度が高いです。
後悔⑨買い替え時の冷蔵庫サイズが制限される
壁面パントリーウォークインパントリーウォークスルーパントリー=該当。サイズアップする可能性がないか、家族の将来の形を想像したり冷蔵庫の商品カタログを見て備える。
将来買い替えられるサイズが決まっているために購入できる機種が制限されてしまう可能性があります。単純に大きいサイズの冷蔵庫が欲しくなることもありますが、冷蔵庫のデザインや性能面で買い替えたくなった時に外寸が意外に大きい場合があります。
欲しいメーカーの欲しい機種が変えないのはストレスです。
今は買い替える予定がなくてもメーカーのカタログや商品サイトを一度見てみるとどの程度余裕をもっておきたいかの目安になり将来後悔する可能性が低くなります。
後悔⑩冷蔵庫の扉を全開にできない
壁面パントリー=冷蔵庫を端に配置しその横に壁がある場合には該当。開閉方向に合わせた配置にする。
ウォークインパントリーウォークスルーパントリー=壁があるため該当しやすい。冷蔵庫のドアの開閉までイメージして間取りを考えることが必要。
パントリーに冷蔵庫を設置すると、冷蔵庫のドアが壁にぶつかり全開できないかもしれません。
食品を取り出しにくくならないよう、あらかじめドアの開閉方向とレイアウトを照らし合わせておくことが必要です。
観音開き、フレンチドアと呼ばれる「ドアが左右に分かれて開くタイプ」の冷蔵庫にすると全開にできなくても中の商品を取り出すのに不自由がなくなります。
徹底的にイメージトレーニングしてパントリーに冷蔵庫を隠す
平面図を見ていてもイマイチ想像がつかないものです。
図面片手に今お住いのキッチンに立ちサイズを測って歩いてみたり、実際に冷蔵庫を開く動作をしてみることをおススメします。
家が完成する前に体を動かしてみることで、デメリットを体感として認識できます。
スッキリと生活感が無いだけでなく、後悔のない使いやすいキッチンを手に入れましょう。
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